ジャンバニエの『人と出会うこと』を読んだ。この人は知的障害者と共に歩むためにラルシュという共同体を築いた人であり、その歩みから、深い洞察に満ちた書物を書いている。この本は小冊子である。
「ハンデを持つ青年の、よい話をご紹介しましょう。彼はスペシャル・オリンピックスで優勝したいと願っていました。百メートル走に出られることになり、金メダルを獲得しようとものすごい勢いで走っていました。ところがいっしょに走っていたひとりの人が滑って転んでしまいます。すると青年は引き返し、彼を立ち上がらせ、いっしょにいちばん後からゴールしたのです」。
そして問いが投げかけられます。
「他者と共にあるために、賞をあきらめる覚悟が私たちにあるでしょうか」。
我々は人間関係をどのようなものとして考えているのか、問われる。昔の僕は、人間関係とは煩わしいものと考え、それ以上のものとは考えなかった。聖書は愛することを教えている。愛するとは、人間関係を他の何よりも大事なものと考えることである。こう悟ったのは、昔のことではない。