久しぶりに天気がよい。日本海側の冬はいつも曇っていて気が滅入ってくると聞いていたが、今年の冬はそんな機構。昨日から、娘家族がきている。夕方帰る。来てくれてうれしく、帰ってくれてほっとする。箱根駅伝は終わりまで見た。追い上げる東洋大に対して、早稲田が逃げ切れるか、はらはらどきどきであったが、早稲田が逃げ切った。僕は早稲田を応援したので、うれしさがこみ上げてきた。
夜、『赤い指』というドラマを見た。東野圭吾という作家の原作をドラマ化したもの。本屋に行けば、この作家の本はいつでも積まれていて人気作家であることは知っていたが、本は読んでいない。このドラマを見て、すぐれた作家であると思わされた。とあるサラリーマン家庭に起きた出来事。一人息子が幼い女の子を殺してしまう。その母親が会社にいる夫に大変なことが起きたから急いで帰ってきてと言う。夫が帰ると庭に女の子の死体を見る。夫は警察に電話をしようというが母親は止めさせる。息子が犯罪者になっていいのか、と訴え、警察に連絡するなら私は死ぬ、と自分ののど元にはさみを突きつける。
「あなた、死体を捨ててきて」
ここから物語が展開していく。おぞましい物語に思えるが、涙も誘われる展開。作家というのはよく考えるというか、アイデアをひねり出すものだと感心する。主人公の刑事には、末期の父親がいるが、彼は父を見舞いに行かない。一緒に捜査をする若い刑事は、主人公の刑事とはいとこ同士。なぜ、見舞いに行かないのかと責める。物語の最後で主人公は説明する。父も刑事だった。忙しくて家庭を顧みなかった。その妻、主人公の母は家を出た。そして孤独のうちに死んだ。妻を孤独のうちに死なせたと思う父は、自分が死ぬ時、家族の見守りの中で自分が死ぬことを許さない。決して見舞いに来るな、と父は息子に語る。だから自分は父を見舞いに行かなかった、と説明する。そういうこともあるんだ、と思いつつ、そういう人間の物語をいくつも考えて小説を作るのは、無から有を作り出すようなもので、なかなかのものだと感心してしまった。