クリスチャンが元気になる holalaのブログ

隠退牧師 holala によるブログ

愛はねたまない

 口語訳の旧約聖書で、神さまはご自身のことを「ねたむ神である」と語られました。神さまがねたむ神だなんて驚いてしまいます。何を意味しているかといえば、人間が唯一の神さまを拝まず、偶像礼拝を行うとき、神さまは偶像に嫉妬するというのです。神の民イスラエルの心がご自身ではなく、偶像に向かっていることに対して神はねたむのです。焼き餅を焼くわけです。イスラエルの偶像礼拝、不信仰を非難する言葉が「わたしはねたむ神である」という表現で現されているように思います。神さまは嫉妬に駆られて滅茶苦茶な行動をされることはありません。

 「愛はねたまない」とあります。私たちは誰もがねたみを経験したことはあると思います。自分にないものを他者(ひと)が持っていると、その他者をねたむのです。自分にないものを他者が持っていると、私たちはうらやましく思います。このうらやむ思いは、ねたみに変わることがあります。ねたみには相手に対する敵意が含まれているように思います。ねたみは他者を敵にしてしまいます。その敵意は時に相手を傷つける行為となって現れることがあります。敵を作り敵を攻撃する、それは愛ではありません。だから愛はねたまないと教えられます。

 そうはいっても私たちは人をうらやんだり、ねたんだりします。他者(ひと)は自分とは違います。その違いが劣等感となったり、優越感になったり、うらやみ、ねたみを生んだりします。私より深く物事を考えることができる人、私より聖書の言葉をよく知っている信徒、私より神学的な知識の豊かな人、いい説教をする人。うらやましく思う人と何人も出会いました。私の場合は、ねたみより劣等感を感じました。

 そこで自分と他者を比較しなければいいとの忠告が生まれます。人間はロボットではありません。ロボットなら同じものを大量に生産できます。人はロボットではなく、一人一人が個性を持ちます。私たちは自分と他者との違いに気づきます。気づくと何らかの思いを抱きます。ねたみを抱かないためには、自分は自分、他者(ひと)は他者(ひと)と割り切って対処することができます。これは人の知恵です。

 聖書から考えるとどうなるのだろう。私が経験から学んだことは、神との関係で自分を見ることです。私はねたみに対して次のように対処しました。自分は神に愛されている、それで十分ではないかと考えました。人と自分を比較しません。私の存在が神さまに受け入れられているなら、自分でも自分を受け入れるべきだと考えました。そして自然に自分を受け入れることができるようになりました。人間的な知恵と違うことは、神さまに愛されていると考えることにより、自己肯定ができる点です。自分はこれでいいのだ、と自分で自分を受け入れることができます。

 聖書にはタラントのたとえがあり、人は自分に与えられたタラントに応じて生きれば良いと教えられます。タラントの大きい人をうらやむ必要はありません。タラントの大きい人は、それだけ大きな責任を負うことになります。ある意味大変です。自分に与えられたタラントの量、それは自分にふさわしいと考えるのがよいと実感しました。牧師として現役で働いている時、有能な牧師がいました。彼は色んな場面で用いられます。用事で出かけることも多いのです。じっくり机の前に座る時間は少ないです。そして少ない時間の中で毎週説教の準備をします。それは私にはできません。能力のある人をうらやむ必要はないと実感しました。

 ねたみに対処することは若い時の課題でした。ねたみと劣等感は裏腹です。ねたむ思いは相手に向けられ、劣等感は自分に向けられます。私は自分は神に愛されていると考え、自分を肯定し受け入れることができました。自分の個性を感謝することができるようになりました。このような経験はキリスト者のアイデンティティーを考えるように私を導いてくれたと思います。

 キリスト者はイエス・キリストに結ばれ、神の子とされます。そこで大切なことは神の子として生きることです。そこでは自分と他者を比較する必要なんて少しもありません。比較をやめます。もし比較して、他者のすぐれた点に気づいたら、それはその人の個性と受けとめればよいだけです。ひとをうらやむ、それは肉の人のすることです。

コリント一3:3
お互いの間にねたみや争いが絶えない以上、あなたがたは肉の人であり、ただの人として歩んでいる、ということになりはしませんか。

 私たちはキリスト者として霊の人になることが大切だと考えます。ねたみから自由にされた霊の人を目指せばよいのです。ねたむ思いが湧いたら、霊の人を目指そうと気持ちを切り換えたらよいです。ねたみを覚えることは、自分の歩みを転換するチャンスです。肉の人から霊の人へ変わるチャンスです。

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