ヨハネ一 2:14
子供たちよ、わたしがあなたがたに書いているのは、／あなたがたが御父を知っているからである。父たちよ、わたしがあなたがたに書いているのは、／あなたがたが、初めから存在なさる方を／知っているからである。若者たちよ、わたしがあなたがたに書いているのは、／あなたがたが強く、／神の言葉があなたがたの内にいつもあり、／あなたがたが悪い者に打ち勝ったからである。
ヨハネの手紙一2章には信仰者の成長が三段階に描かれています。子供、若者、父です。キリストを信じ洗礼を受けた人は子供、やがて成長し若者となり、さらに信仰が成熟して父となります。そこで若者や父が、子供を導き育てる、父が若者を導き育てるという働きが教会の中にあることは願わしいことだと思います。このようにして教会の中に信仰者を育てる働きが行われることを信仰の継承と呼んでもいいのではないでしょうか。
私は洗礼を受けてまもなく神学校に行きました。聖書をもっと学びたかったのです。牧師として働くよう神の召しを受けたわけではありません。でも神学校を卒業する時には、福音を伝える志を与えられて牧師となりました。信徒として生きた時間は少ないので、牧師となって教会で説教をしましたが、信仰者として成長し、成熟しているわけではありません。一人の信仰者として、キリスト者としてどう生きるのかを考え、また自分自身がキリスト者として未熟であることに負い目を感じてきました。
そうする中で、牧師となって十数年してからキリスト者とはどういう存在なのかが分かってきたように思います。聖書から、そして信仰の書物から教えられました。キリスト者として悩みながら歩み、つまり修行をし、ようやく悟りにたどり着いたといえるかも知れません。悟り、つまりキリスト者とはどういう存在なのかを知ることです。そして自分がそういう存在であると知ることです。
私自身の歩みはキリスト者としてこれでいいのだろうかといつも考え悩みながらの歩みでした。自分がどこへ行くのか分からずに歩みました。しかし幸いなことにというか、神さまの導きによって、キリスト者とはどのような存在かを知り、私の魂は平安を得ました。
私は思います。だれもが私と同じような歩みをする必要はないと思います。つまり洗礼を受けた人に、キリスト者とはこういう存在なのですよと教えることができます。教えられても、洗礼を受けたばかりの人はまだ理解できないかもしれません。しかし目指すところを知って歩むことができます。キリスト者として歩む中で、キリスト者としての自分のあり様に悩むかもしれませんが、どこを目指すのかが分かることは励みになるのではないでしょうか。
しかも、教会の中に「若者」「父」たる人がいて、信仰のことを共に語り合うことができるなら、信仰の先輩（「若者」「父」）の経験は大いに参考になります。かくして信仰の「子供」はキリスト者がどのような存在であるかを知り、自分がそのようなキリスト者であることを感謝して受けとめることができるのではないかと思います。
このようにして「若者」「父」が「子供」を導き、「若者」に育てます。「父」は「若者」を育てます。育てられた「若者」「父」は「子供」を育て、「父」は「若者」を育てます。このようにして教会の中で信仰を育てる歩みが循環していきます。このようにして信仰が継承されていく教会、それが私の「夢」です。
キリスト者とはどのような存在なのでしょうか。
- 洗礼を受け罪赦され、神から義と認められ、神の目に正しい人です。
- 神に義（正しい者）と認められ、神との間に平和の関係が築かれています。
- さらにキリスト者は神の子であり、神を天の父と呼びます。神は天の父と呼ばれることを喜ばれます。
- 洗礼を受けたキリスト者は聖霊の働きにより新しく生まれました。自分が新しく生まれたことは信ずべきことであり、実感できることではありません。しかしやがて実感するようになります。
- キリスト者はこの世に生を受けた時、咎のうちに生まれ、母の胎内にあった時、罪のうちにありました。
- キリスト者として新しく生まれても、古い性質が残っているために、罪を犯すことがあるし、罪との戦いがあります。
これがキリスト者であると私は信じます。洗礼を受けたばかりのキリスト者も、「父」たるキリスト者も、ここに書いたキリスト者です。しかし同時にこのキリスト者は成長していきます。そして自分がこのようなキリスト者であると言うことができる人は、洗礼を受けたばかりの人に、キリスト者とはどのような人のことをいうのか、証しできる人だと考えます。
あなたは、証しできるキリスト者ではありませんか。
