私は小さい頃、祖母の死を経験し、死の恐怖を感じました。このことは私の人生に暗い影を落としました。これは偶然の出来事です。誰かが計画して起きるような出来事ではありません。幼子の心の中に恐れが宿ったのです。
大学生の時に人間は最後には死ぬのだと思うと何をしてもむなしい、とむなしさを感じました。社会人となりサラリーマン生活をしました。「そのためなら命を賭けてもよい」と思えることに出会いたいと願うようになりました。それは死に勝利することになると考えました。
ある時、教会の伝道集会に誘われ、行きました。信じれば救われる、と聞きました。そんなんで救われるなら、苦労はしないよと思い、続けて教会に行く気持ちにはなりませんでした。その日、教会が火事になりました。幸いボヤですみました。これは何かの縁だと考え、教会に通い始めました。
伝道集会に誘われたことも偶然、火事が起きたことも偶然、教会に通い始めたことも偶然でした。やがて洗礼を受け、「牧師になりたい」との憧れを抱き、聖書を学びたいとの思いで神学校に行き、気がついたら、牧師の働きに遣わされることになっていました。
私の人生の最初に暗い影が落とされたこと、それは神さまの御業ではありませんが、神さまのお許しの中で起きたことかもしれません。神さまの御業なら神さまは意地悪です。このように振り返ってみると、神さまは迷いの中にある私を見いだし、私を導き、いのちなるキリストに出会わせ、キリストを宣べ伝える者として下さったと考えるなら、感謝しかありません。
この神さまを私はどうたたえたらいいのか、まだ言葉は見出せません。
