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隠退牧師 holala によるブログ

信仰義認をめぐって(2)義とされなかった人々

 アブラハムは子が授かり、さらに彼にはヤコブという孫が与えられました。ヤコブは飢饉に遭い、子どもを連れてエジプトに避難しました。エジプトで彼の子孫は増えました。その数が多くなり、イスラエルは強力な民族となりました。エジプトの王にとってイスラエルは脅威となったのです(出エジプト記1章)。

 そこでエジプトの王は、イスラエルの民を奴隷にしました。イスラエルの民は奴隷として苦しみ、苦しみの中で、アブラハムの信じた神に助けを求めました。そこで神さまはモーセを指導者に立て、彼に言います。

「わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った。それゆえ、わたしは降って行き、エジプト人の手から彼らを救い出し、この国から、広々としたすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地へ彼らを導き上る」(出エジプト記3章7節以下)。

 神さまはイスラエルの民に約束したのです。エジプトにおける奴隷状態から解放すること、そして自由に生きることのできる土地、しかも豊かな生活ができる土地へ連れて行くと約束したのです。これを信じれば、アブラハムと同様イスラエルの民はその信仰が義と認められることになります。

 神さまは約束通り、色々な奇跡を行ってイスラエルの民をエジプトから解放しました。イスラエルの民はエジプトを去ります。神さまは彼らを約束の地へ導きます。エジプトを出て約束の地まで荒野の旅をしなければなりませんでした。荒野の旅では、時に食べ物や飲み物に事欠くことがありました。つまり試練です。

 神さまを信じ、神さまの約束を信じ、神さまは約束の地に連れて行ってくださるのだから、この試練からも私たちを助けてくださると信じ、神さまに助けを求めるのか。求めないのか。イスラエルの民は神さまに助けを求めず、逆に不平を言い、文句を言ったのでした。挙げ句の果てにはエジプトにいたときの方が良かったとさえ言いました。

 彼らの気持ちは分かります。神さまは約束の地に連れて行くと言ったのです。それなら順調な旅を導き、約束の地に連れて行けばいいのにと彼らは思ったのです。私たちだって神さまを信じ信仰生活を送り、礼拝の説教では、神さまはいつも共にいてくださると聞かされているのに、大きな試練が起きてしまったら、信仰を持ち続けることができるのでしょうか。神さまはなぜ、試練に遭わせるのか、遭わないように導くことができなかったのか、と不信感を持つかもしれません。

 アブラハムは「空の星を見て」神さまの約束を信じました。イスラエルの民は「エジプトで神さまのなさった奇跡を見る」ことができました。だから神さまの約束を信じてよいのです。さらにイスラエルの民の場合、荒野の旅で飲み水に困ったとき、神は岩から水を出して民に飲ませたのです。食物がなくなったときは、天からマナを降らせて食べさせたのです。荒野の旅の最初の試練で神さまに文句を言うのはよいとします。神さまは何度も試練の中にあってイスラエルの民を助けたのです。ですから、神さまに助けを求めるなら大丈夫だと学習し、神の約束を信じることができたはずです。そうすればイスラエルの民もその信仰が義と認められたと思います。

 そしてついにイスラエルの民は約束の地を目の前にするところに来ました。前もって送った偵察隊は、約束の地は肥沃な土地で生活するのにすばらしい土地だと報告をもたらしました。しかし同時に、そこには強うそうな人たちが住んでいる。土地を得るためには戦わなければならないと報告したとき、イスラエルの民は落胆し、エジプトに帰ろうというのです(民数記13~14章)。すると神さまは言います。

 「この民は、いつまでわたしを侮るのか。彼らの間で行ったすべてのしるしを無視し、いつまでわたしを信じないのか」(民数記14:11) 

  神さまは約束を必ず実現させることがおできになると信じれば、その信仰が義と認められ、彼らは約束の地に住むことができたのです。強そうな民がいたとしても神さまは戦いを勝利に導いてくださったに違いありません。

 神さまはイスラエルの民を荒野で40年生活させました。神さまに信頼することを学ばせるためです。そして不信仰な世代が皆死んだとき、その子どもの世代の民を神さまは約束の地へ導きました。義とされなかった民は約束の地に入ることができませんでした。

 神さまを信じるとは神さまを信用することです。神さまを信用する信仰を持つ人を神さまは義と認めます。その人が神さまの目に正しい人とされます。

 信仰によって義とされるとき、漠然と神を信じるのではなく、積極的に神を信じ、神の約束を信じ、神を信用するという積極的な内容があると思います。

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