最近、私が机の上に置いている興味深い本があります。『もしも一年後、この世にいないとしたら』(清水研著 文響社)というタイトルの本です。著者は清水研さん。精神腫瘍医という医師の方です。がん専門の精神科医および心療内科医として働いている方です。
ガン患者で生きることに問題を抱えている人たちのカウンセリングを行い、患者との対話の中で、患者が変化していくのを見ながら、著者自身も変えられていきます。エピソードが色々紹介されています。内容は分かりやすく、興味深いです。
ガンを宣告され、自分の死が目の前に迫ってくるという困難に直面し人は悩みます。悩みと向き合う力を清水さんは「レジリエンス」と呼び、人はだれでも、レジリエンスを持っていると語ります。著者との対話の中で、患者の方たちが変えられていくのを見て、人は、レジリエンスを持っていると著者は語ります。
レジリエンスとは、可塑性という意味で「元に戻る」ことを意味するそうです。柳は強い風に吹かれるとたわみますが、風が止むと元に戻ります。病気と向き合う中で、葛藤を覚えますがやがて立ち上がる力を患者は持つというのです。
著者が引用している二人の言葉を紹介します。
僕が死を考えるのは、死ぬためじゃない。生きるためなんだ。
アンドレ・マルロー(フランスの作家)
私はこの言葉に共感を覚えます。私も同じ思いです。
人は死んだらどうなるのか、人を悩ませます。死は自分の消滅です。ガンを宣告され、急に死が迫ってくるのです。
「死んだ後の自分のことを心配するならば、なんで生まれてくる前の自分のことを心配しないんだ」。
アーヴィン・D・ヤーロム(アメリカの精神科医)
人は色んなことを言うんだなと思いました。ガン患者の気持ちを知ることができるので読んでよかったと思いました。
この本の5章2節のタイトルがこれです。この箇所も興味深いです。
「人は死んだらどうなるのか」という問いにどう答えるか