妻の母が長野にいた時所属していた教会の牧師夫妻が訪ねてくださった。
「いかがですか」と聞かれて母は、「研究に忙しいの」という。「何の研究ですか」と聞かれると「ユーモアの研究」。そこで「あれは」と僕が催促をする。
すると母は小さい頃父親から聞いたという歌を紹介する。
目はかすみ 耳にセミ鳴き 葉は落ちて 降らねど積もる峰の白雪
老いを春夏秋冬に当てはめて歌っている。もとの歌は誰が作ったのか、インターネットで調べると次の歌がある。
目はかすみ 耳に蝉鳴き 歯は落ちて かしらに雪の つもる年かな
目が霞(かすみ)耳は蝉鳴き葉(歯)は落ちて頭に霜を頂けるかな
母は、ユーモアを持たせて次のように替え歌にする。
目に眼鏡 耳に補聴器 歯は入れ歯
峰の白雪アデランス
母から最初に聞いた時、大笑いしたが、僕も老眼で遠視の眼鏡をかけている。
眼鏡をかけていながら眼鏡を探す、そんなことが起きる年齢になってしまった。