中国で反日デモが行われている。日本と中国の関係を「和解」という視点から考えてみた。
1972年9月29日、北京で日中共同声明が発表された。田中角栄総理大臣、周恩来首相が署名している。戦争状態の終結と平和友好関係の樹立を目指したものである。共同声明の前文の中に
日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。
とあり、日本が中国に侵略したことの謝罪を行っている。共同声明の中に
中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
とある。両国の間に和解が成立したのである。共同声明の中に次のように書かれている。
日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。
両国は、平和友好関係を確立することに合意したのである。そして1978年日中友好条約が結ばれた。
ここで、それぞれの国において、歴史をどう教えるかが重要となる。和解したのであるから、その事実を教える必要がある。ところが中国で反日教育がなされ、今回のデモには若い人が多いと言われている。反日教育の結果と見ることができる。反日教育、つまり日本は戦争の時ひどいことを行ったと教える。当然、日本に対して憎しみ、反感が育つことになる。これは、日中共同声明の精神に反対することにある。友好関係を確立することに反する。
なぜ反日教育を中国は行ったのか。何らかの利益を当局は考えたはずである。日本においても、歴史の教科書の記述を巡って日本が侵略した事実をどう記載するかが問題になり、中国の反発を買ったこともある。共通の歴史認識を持ち、それを誠実に後の世代に教えることの大切さを思う。