下の息子が四才の頃と思うが、妻の父が亡くなった。危篤の電話を受け、妻の実家に帰った。翌日、父は亡くなった。火葬場で棺に花を添えた。息子は花を飾ることにはしゃいでいた。しかし火葬した直後の骨を見て、息子は驚き、激しく泣き続けた。その息子を抱き上げ、火葬場からの帰りのバスの中で僕は聖書の話をした。旧約聖書のエゼキエル書に、枯れた骨が谷に沢山あったが、骨と骨が集まり、その骨に肉がつき、人間になったという話があり、おじいさんは消えてなくなったのではなく、神さまのもとに行ったことを話した。それ以来、息子は、「僕も早く天国に行きたい」とことあるごとに話していた。あの時、僕は幼子の父だった。そして今、幼子のおじいさんになった。
『わすれられないおくりもの』(スーザン・バーレイ作)を読んだ。心が和むタッチの絵本である。アナグマが死に、一緒にいた生きていた動物たちはその死を悲しむ。やがてアナグマとの思い出を互いに語り合うことを通して、悲しみが感謝の気持ちに変えられていくというストーリーが心に響く。年老いて動けなくなったアナグマは、他の動物が遊んでいる様子を暖かいまなざしで見ている。そんなまなざしで孫を見ている自分がいる。自分は孫たちにどんな思い出を残せるのか、孫が僕との関わりを感謝をもって思い出してくれたら、うれしい、そんな気持ちにさせてくれる本だった。