3.天寿を全うする
私たちは高齢化社会に生きています。多くの人々が老いることに恐れを抱いています。自分がどんな老後を送るの か、もしかしたら、と不安を抱く人も多いことでしょう。実際、十字の園のような施設では、体に不自由のある方が少なくありません。一人の信仰者として、また別な考え、思いのあることをお知らせします。
聖書という書物は、キリスト教信仰にとって正典と呼ばれる大切な書物です。これには、旧約聖書、新約聖書の二つのものがありま す。「約」という字は「契約」の「約」であり、「約束」の約です。私たち信じる者は、神様との契約関係にあることを聖書は教えています。 お互いに、相手に対して、自分のなすべきことを果たすという約束をしている関係ということです。そして神様は、神様が私たちにして 下さることを「約束」して下さっています。私たちは、その約束が頼みとなります。
「私はあなたの中から病を取り除く。あなたの国には流産する女も不妊の女もいなくなる。私はあなたの天寿を全うさせる」(出エジプ ト記23:25〜26節)。
病気を取り除き、天寿を全うさせる、あるいは、子供を与えるという約束もあります。これが神様の約束です。神様は真実な方ですか ら、約束を守って下さることを私たちは信じてこれを楽しみにして毎日を生きていきます。私は、天寿を全うすることを信じ、そのつもり でいます。「聖書には、私は天寿を全うできると書いてある。神様が約束して下さっている。だから私は天寿を全うできる。神様感謝し ます」、こう告白して、日々歩んでいます。
昔、西行という僧がおりました。歌人でもありました。若い日に出会った彼の歌が忘れられません。
「願わくは、花のもとにて春死しな ん。その如月の望月の頃」。
この歌の花とは梅のことです。私は梅の花の咲く頃、しかも満月の時期に死にたいものだ、と歌いまし た。そして彼はその通りに亡くなったとのことです。
聖書には、こんな約束もあります。
「山に向かって海に移れと言って、心で疑わず、言った通りになると信じるなら、言った通りになる」(マルコ11:23)。
西行法師は、「春、花のもとで死にたい」と口にして、その通りになりました。もし、自分の口から出す言葉が現実になるのだとしたら、 まして、神様の約束を口に出していれば、必ず現実になることは間違いのないことです。私はそう信じて、天寿を全うすることにしてい ます。