牧師の働きを終え、老いの日々を送る中、信仰について思いめぐらす日々を過ごしています。牧師の働きをしていたときは、毎週の説教準備で追われるような日々を過ごしていました。同時に教理を深く学び、神学を学び、説教に備えてきました。
今、信仰について思いめぐらしています。そんな中でもっと早く気がついていれば、もっと早く理解していればよかったのにと思うことがあります。時間は戻らないので、どうにもなりませんが、今、気づきを与えられたことを幸いとしたいと思ってます。
何に気づいたのかというと、洗礼についてです。私たちは洗礼を受け、キリスト者としての歩みを始めます。その洗礼とは何か、です。私はハイデルベルク信仰問答を手もとにおき、自分が語る説教が教理に則っているかどうか吟味してきました。洗礼とは何か、もちろんこの教理問答にも書いてあります。
問70
キリストの血と霊とによって洗われるとは、どういうことですか。答え
それは十字架での犠牲において
私たちのために流されたキリストの血のゆえに、
恵みによって、神から罪の赦しを得るということです。
さらに、聖霊によって新しくされ、
キリストの一部として聖別されるということでもあります。
使徒パウロは、ロマ書の6章で洗礼についてこう書いています。
3節（新共同訳）
それともあなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスに結ばれるために洗礼を受けたわたしたちが皆、またその死にあずかるために洗礼を受けたことを。
3節（口語訳）
それとも、あなたがたは知らないのか。キリスト・イエスにあずかるバプテスマを受けたわたしたちは、彼の死にあずかるバプテスマを受けたのである。
3節（聖書協会共同訳）
それとも、あなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスにあずかる洗礼を受けた私たちは皆、キリストの死にあずかる洗礼を受けたのです。
3節（NKJV）
Or do you not know that as many of us as were baptized into Christ Jesus were baptized into His death?
ギリシャ語の聖書本文を私なりに訳してみると、
3節
あなたがたは知らないのですか。私たちはキリストの中へとバプテスマ（洗礼）を受けたのです。キリストの死の中へと私たちはバプテスマ（洗礼）を受けたのです。
洗礼は私たちをキリストの中へ、キリストの死の中へ追いやる、押し込むものだというのです。だから私は、新共同訳の「結ばれる」という訳が好きです。口語訳や聖書協会共同訳の「あずかる」は日本語として私にはピンとこない面があります。
私が気づかされたことは、洗礼とはキリストに結びつくことだ、ということです。神を信じて信仰生活が始まるように、キリストに結ばれてクリスチャンの信仰生活が始まります。私は洗礼を受け自分が「キリストに結ばれている」ことを信じる、ここにキリスト信仰の出発点があることに気づかされました。
