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隠退牧師 holala によるブログ

A長老とCさんの対話(5)神さまの約束を信じる

「A長老、こんにちは」

「Cさん、こんにちは」

「創世記で、アブラハムの物語を読んでみました。色々と思うところがありました」

「たとえばどんなことですか」

「12章の最初に『主はアブラムに言われた』と書いてあります。この聖書を読む私たちは神さまがアブラムに語られたと理解しますが、アブラムはどうだったのでしょうか。心で聞いたのか、直接耳で聞いたのか分かりませんが、その声をアブラムはどう受けとめたのかとまず思いました。幻聴だとは思わなかったのかしら」

「鋭い指摘ですね。アブラハムは、どうして自分の聞いた声が神さまであると考えたのか、私たちには分かりません。分かりませんが、彼はそう信じたんですね」

「それにしても生まれ故郷を離れ、父の家を離れてわたしの示す地に行きなさいとの命令によく従えたと思います。今までの生活を全部捨てるようで、わたしには到底できませんわ」

「そう思われても当然です」

「それだけじゃありません。『わたしはあなたを大いなる国民にし』とありますが、それはいつのことですか。アブラムが死んだずっと後のことではありませんか。たとい神さまの約束でも、自分では確かめることができない約束を信じるというのも理解できません。なぜこんな物語が聖書にあるのでしょうか」

「聖書って不思議な書物ですよね。確かに聖書は誰もが読んで理解し、納得できるようなものではありません。それは聖書が神さまのことを伝えようとしているからです。そもそも神さまは人間が理解し納得できる存在とは限りません。聖書は神さまはこういう方ですが、あなたはこの神をどう思いますか、信じますか、と問いかける書物といってよいと思います」

「アブラムの物語を読んで、いきなり壁にぶつかってしまったような気がしています。アブラムについて、少し説明していただけますか」

「前回、神さまは私たちを祝福してくださる方であるとお話ししました。そして神さまが私たちの人生を最善に導いてくださると信じて、その最善の人生を求めることが、信仰であるとお話ししました。私はそれを受け入れ、神さまが用意してくださる祝福は私が願う祝福よりさらにすばらしいものであると信じるようになりました」

「A長老がそのようにおっしゃるのは分かります。それでアブラムの物語はどのような関連があるのでしょうか」

「創世記を読んでいくと分かりますが、アブラムが神さまの声を聞いたときは75才。妻のサラは10歳年下です。彼らには子どもがいませんでした。年齢を考えれば、子どもを持つことはほぼ不可能です。でも神さまは彼らに子を与え、その子から子孫が沢山増えるという約束をお与えになりました。そして私の示す地に行きなさい、とお命じになりました」

「すると、この神さまの約束を信じるか、それとも信じないかですね」

「はい。こんな年寄り夫婦に子が授かり、子孫が増えるなんて愚かな話しだ。もういい、聞かなかったことにするとアブラムは言うことができました。でもアブラムは信じました。そして神さまの命令に従いました。ここからアブラムと神さまとの関わりが始まりました」

「もし信じないで、聞いたことを受け入れなければ、アブラムと神さまとの関わりは始まらなかったことになるというわけですね」

「その通りです」

「それから創世記の15章。ここでも驚かされましたわ。何年経っても子どもが授からないので、アブラムは神さまに苦情を言います。無理もないと思います。そしたら神さまは『天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。あなたの子孫はこのようになる』と言われました。そしてアブラムは主を信じたとあります。アブラムが天を仰ぐと満天に輝く星を見たと思います。そしてあの星のように子孫が増えることを信じたというのです。不思議というか、よくまあ信じることができたと思いますわ」

「そうですね。誰だってそう思いますよね。でもここで出来事の背後にあることに注目したいと思うんです。『現象の背後に本質がある』とうちの牧師先生が話されたことがあります。現象に目を奪われてはならない。その奥にある本質を見ることが大事だというのです」

「はあ、どういうことですか」

「信仰とは、神の約束の言葉を信じること、そして信じて歩むことなんです。神さまは真実な方なので、神さまの約束は必ず実現すると信じて歩む、それが信仰なのです。アブラムの物語はそのことを教えているんです」

「満天の星の多さと子孫が増えることとは関係ないと思いますが、アブラムは主を信じたとあり、神さまの約束を信じたのですね。信仰とは神さまの約束を信じること、なるほどと思います」

「分かっていただけるとうれしいですね」

「私、アブラムにイサクが授かるところまで聖書を読みましたの。彼が99歳の時、神の使いが現れて来年の今頃妻のサラが子を産むと言いました。すると神さまの声を最初に聞いたのが75歳ですから、子を授かるだけで25年も待ったことになりますね。いくら神さまの約束でも25年も待つなんて、そんな辛抱私にできるかどうか自信ありません」

「現象の背後に本質があります。本質は、神さまの約束は実現する、ことにあります。私たちはアブラムと同じ経験をする必要はありません。神さまは真実な方であり、約束を必ず守る方であることを信じることを学べばいいのです」

「神の約束を信じる、それは分かりました。では神さまは私にどんな約束をされているのでしょうか。私に対する約束がなければ、神さまを信じる理由がないように思いました」

「どんな約束をされていると思いますか。礼拝の説教で聞いたことがあるのではないでしょうか」

「ほんとうですか。約束ということを意識していなかったので、すぐには思い出せません。ちょっと考えてみたいと思います。今日もお話しありがとうございました」

「お元気で」

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ブルースター 散歩道 帰化した花ですね