イエス様の弟子ペトロが犯した罪です。どの福音書にも書かれています。比較して読むと興味深いです。マタイ福音書から引用します。
イエスは弟子たちに言われた。
「今夜、あなたがたは皆わたしにつまずく。『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散ってしまう』/と書いてあるからだ。しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く」。
するとペトロが言います。
「たとえ、みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」
するとイエスは言われます。
「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう」。
ペトロは言います。
「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」
イエス様が捕らえられ、大祭司カイアファの家に連れて行かれたとき、ペトロは後をついて行きました。そして「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言われ、ペトロは「そんな人は知らない」と言ってしまいました。
ペトロは自分がイエス様と一緒にいた者であることが明らかになったら自分も捕まるのではないか、と恐れにとらわれたと思います。そして反射的にイエス様のことを知らないと言ってしまいました。嘘をついたのです。それはイエスを裏切る行為でした。
思いがけないことが起きたときに、私たちは恐れを感じたり、怒りを感じたり、憎しみや妬みなどを感じ、それらの感情に流されて思わぬことをすることがあります。自分を守るために嘘をついたりします。怒りに駆られて暴力を振るうこともあります。感情に流されてしまう、これを人間の弱さということができます。この弱さゆえに人は罪を犯します。「仕方がなかった」と弁解するかもしれませんが、罪を犯した事実は消えません。
ヨハネ福音書は、ペトロの罪に対する赦しをイエス様が与えたことを書いています。