「A長老、こんにちは」
「Bさん、こんにちわ」
「聖書って面白いなって思いました。それでまた少しお話ししたいと思って」
「うれしいですね。お話聞きたいですね」
「今出エジプト記を読んでいるのですが、またありました、神さまの約束」
「どんな約束ですか」
「イスラエルの民がエジプトで奴隷として生きていて、とても苦しい生活をしていました。彼らは神さまに助けを求めて叫んだのです」
「それで」
「神さまはモーセに言われました。『わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った。それゆえ、わたしは降って行き、エジプト人の手から彼らを救い出し、この国から、広々としたすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の住む所へ彼らを導き上る』」。
「神さまがモーセに言われた約束ですね」。
「はい。エジプトから救い出し、広々としたすばらしい土地に連れて行く。すばらしい約束です」
「そうですね。で神さまは誰に約束したんですか」
「モーセです。神さまは続けてモーセに言いました。『今、行きなさい。わたしはあなたをファラオのもとに遣わす。わが民イスラエルの人々をエジプトから連れ出すのだ』。モーセに対する命令があります」
「アブラハムの場合と似ていますね」
「はい。約束と命令です。モーセは約束を与えられ神さまに遣わされるのです」
「すごい、そこまで読めたなんて」
「聖書を読む時、『約束』に注目して読むことが大切だと思いました」
「そうなんですよ。いいところに気づかれましたね」
「そんな風に言っていただくとうれしいですね」
「私は聖書の読み方をうちの牧師先生から教わりました。その時、約束に注目することは大切だと教えられました。だからBさんが自分で気づくなんて聖霊に導かれているのでしょうね」
「本当ですか。励まされます。牧師先生からどんなことを教わったのですか」
「そうですね。聖書を読む時、神さまはいかなる方かに注目することは大切だと教えられました」
「神さまはいかなる方、ですか。私たちは神さまを信じるわけですからね」
「それと模範を見ることも大事と教えられました」
「信仰に生きる時に参考となる模範ですか」
「はい、そうです」
「A長老は、どんな約束を聖書から読み取ってこられたんですか」
「聞くばかりでなく、私も話しを聞いていただくことも大切ですね。私は結構、思い悩む人だったんです。ああしたらどうなるか。こうしたらどうなるか。ああなったらどうしようなどと考えると眠れなくなることがよくありました」
「それで?」
「フィリピの信徒への手紙4章6~7節です」
「ちょっと待ってください。聖書を開いてみますから」。
「開けたら読んでみてください」
「読んでみます。『どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう』」。
「約束と命令が書かれていますよね。思い煩うなは命令。平和が約束」
「そうなんですよ」
「むずかしいことは何もありませんね。実行すればいいだけですね」
「そうなんです。それで何かあれば、神さまに打ち明けるようにしています。あるいはこんな約束もあります」
「どんな約束ですか」
「同じフィリピの信徒への手紙4章19節です」
「さっきのすぐ後ですね。読んでみます。『わたしの神は、御自分の栄光の富に応じて、キリスト・イエスによって、あなたがたに必要なものをすべて満たしてくださいます』。どういうことですか」
「ここには神さまがいかなる方か書かれています。神は私たちの必要を満たしてくださる方であると書かれています。でもここに『必要が満たされる』という約束があります」
「ここには命令はありませんね」
「空からお金が降ってくるわけではありませんから、何かしなければなりません。妻とどうしたらいいか、祈り、考えました。すると妻にいい仕事が与えられて必要が満たされました」
「お金に困っていたんですか」
「私には子どもがたくさんいて、子どもの進学にお金が必要だったんです」
「そうですか。・・・・。今ふと思ったんです。神さまの約束って私たちの生活がうまく行くためにあるのですか」
「それはとてもいい質問です。神さまは信じる者たちを祝福してくださるので、私たちの生活に関わる約束があります。思い煩いに関する約束や必要の満たしという約束は、確かに生活に関わりますが、もっと信仰に生きることに本質的な約束もあります」
「本当ですか。それは是非知りたいですね」
「うちの牧師先生は説教でよく出エジプト記の話をします。イスラエルの民のエジプトからの解放の話しです。これは単なる昔話ではないとおっしゃるんです」
「どういうことですか」
「イスラエルの民の話は私たちの人生のことだというのです。私たちは罪と死に支配されていますが、イエス・キリストによって解放され、約束の土地つまり神の国を目指して、この世という荒野を旅していると言うんですよ。どう思います」
「どう思いますと言われても、思いがけないことを聞いたので。大切なことを聞いたと思います。少し考えさせてください」
「またお話ししましょう」