ここ奈良には神社、お寺が多く、参拝する人たちが神仏の前で手を合わせて祈っています。そこでは大切なことは願いが聞き届けられることであり、神仏がどのような存在なのかは問題となりません。願いが聞き届けられることが大切となっています。
これに対して聖書では、神がいかなる方かが問題となります。つまり私たちはどのような神を信じるのか明確にすることが大切とされます。使徒信条では、「われは天地の造り主、全能の父なる神を信ず」とあります。神は天と地の造り主であり、全能であり、父なる存在であるとされます。
私の場合、神さまを知る三つの段階があるように思います。最初は、教理として神さまがいかなるかを知る段階です。基本的には、神は天と地の造り主、これを信じるとはどういうことかを学びます。また全能の神を信じるとは、父なる神を信じるとはどういうことかを学び、学んだことをもとに信仰に歩みました。これは必要な段階だと思います。漠然と神を信じるのではなく、いかなる神を信じるのか、明確になります。
第二の段階。神さまには色々な面があります。時と場合によって神さまの行動は違ってきます。エジプトから解放されて約束の地を目指すイスラエルの民が飲み水に困ったことがありました。最初に困ったとき、神はモーセに「杖で岩をたたきなさい」を命じました。二回目に困ったときは、「岩に水を出すように命じなさい」と言いました。神さまはイスラエルの民との関わりの中で、色々な表情をされます。聖書を読むとき、具体的に神さまがいかなるかたかを理解することができます。
神さまはアブラハムに対して、「私は全能の神である」と言われました（創世記17:1）。モーセには、「わたしは主である」おっしゃいました。（出エジプト記6:2）。シナイ山の麓では「主、主、憐れみ深く恵みに富む神、忍耐強く、慈しみとまことに満ち、幾千代にも及ぶ慈しみを守り、罪と背きと過ちを赦す」とご自身がいかなるかたかを語られました。
私は聖書を読み、神さまがいかなる方なのかを知るようになりました。似たような状況でも、神さまは異なる振る舞いをされます。私が置かれた状況において、神さまはどのような方として、私に関わってくださるのかを考え、祈りました。
そして今は第三段階。信仰生活の中で私は神さまをいかなる方と知ったのかです。経験から知る神ということができます。経験から私は神をどのような方として知ったのか、です。体験として神を知る、そこから賛美が生まれてきます。
かつてエジプトから解放され、約束の地に向かったイスラエルの民は危機に陥りました。背後からエジプト軍が追ってきました。目の前は海です。逃げようがありません。しかし神は海の中に道を開き、その道を通ってイスラエルの民はエジプト軍の手から逃げることができました。エジプト軍は海の中に開かれた道を通ってイスラエルを追いかけましたが、道が閉ざされ、エジプト軍は海の中で溺れて死んでしまいました。これを見たイスラエルの民は神さまをたたええました。
15章1節～
主に向かってわたしは歌おう。
主は大いなる威光を現し／馬と乗り手を海に投げ込まれた。
主はわたしの力、わたしの歌／
主はわたしの救いとなってくださった。
この方こそわたしの神。わたしは彼をたたえる。
わたしの父の神、わたしは彼をあがめる。
私にとって信仰の転機となったのは、生ける神を知ったことです。神さまは生きて働かれる神であると知ったことです。その時から、聖書は神の言葉であると心から信じ、確信を持って説教をすることができるようになりました。
そして今、私は自分の体験から神さまをどのような方として知っているのか、です。証しとして、神さまは私にこうしてくれた、ああしてくれたと語ることができます。ではそのようにしてくださった神さまは、そもそもいかなる方なのか、それを自分の告白として語り、神さまをたたえたいと思っています。教理が教える神、聖書が教える神、その神を私は現実の中で、どのような方として出会っているのか、です。イエス様は弟子たちに問いました。
マタイ16:15
「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか」
私は30才の頃に洗礼を受けましたから、もう40年以上信仰生活を送ってきました。信仰生活を通して神さまをいかなる方と知ったのか。きちんと告白したいと願っています。たとえばパウロは告白しています。
コリント二 1:3
わたしたちの主イエス・キリストの父である神、慈愛に満ちた父、慰めを豊かにくださる神がほめたたえられますように。
私の信仰生活の総決算として、神さまをどのような神と告白するのか、今の私の課題です。
