マタイ 6:14～15
もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの過ちをお赦しになる。しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しにならない。
これは主イエスが主の祈りを教えた直後に語られた言葉です。主の祈りの中にも「わたしたちの負い目を赦してください、／わたしたちも自分に負い目のある人を／赦しましたように」とあります。
主イエスの教えは誰に向けて語られたかというと信仰者に向かってです。イエス・キリストの十字架の死を信じ、罪の赦しを得た人たちに対する教えです。12節、14節は、私たちが人を赦すことが、私たちの罪の赦しの根拠であるとは理解しません。むしろ他者の罪を赦すことにおいて、私たちは自分の罪が赦されていることがはっきりするといってよいと思います。つまり自分の罪が本当に赦されていると信じる人は、他者の罪を赦すことができるはずだというのが主イエスの教えと理解します。
あの人は赦せないともしキリスト者が語るなら、その人は自分の罪が赦されていることが分かっていないということです。主イエスはマタイ18章21節以下で「仲間を赦さない家来」のたとえを語りました。私たちは神さまの憐れみによって罪赦されるのだから、他者の罪を憐れみをもって赦しなさいとの教えです。
そしてキリスト者が他者の罪を赦さないなら、その人は最後の審判で裁かれる、つまりその人は罪赦されず、滅びに入れられるというのが主イエスの教えです。私たちはこの教えを厳粛に受けとめる必要があります。
天の父よ、私は他者の罪を赦せないという頑なな罪を持っています。私を憐れみこの罪を赦してください。
この祈りは果たして聞かれるのでしょうか。「あなたを赦す」と神は言われるのでしょうか。どう思いますか。
もしあの人は赦せないという思いを持っていて、赦せるようになりたいと思うならどうしたらいいでしょうか。4つ提案をします。
- 「私には赦せない人がいます。牧師先生には、赦せない人がいましたか。先生はどのようにしてその人を赦せるようになったのか教えてください」と聞いてみてもいいと思います。
- 同じ質問を信仰の仲間にも聞いてみるとよいと思います。人の経験は参考になります。
- 赦せない思いを持っている人を二人探して三人で集まり、自分がどれほど赦せない思いになっているかを互いに語り合って鬱憤を晴らします。なあんだと赦せる思いに導かれるかもしれません。
- 思い切って祈ります。「神さま、あの人を赦します」と祈ります。これは祈りの中の最後の言葉で、その前に、自分がなぜ赦せない思いを抱いているのか、神さまに思いっきり訴え、自分が赦せないのが当然だと訴えます。そして最後に潔く「神さま、あの人を赦します」と祈ります。
ちなみに私は罪の赦しの恵みの大きさゆえに、赦せないという思いを持たなくなりました。ありがたいですね。
