今日は弟子コースの学びの日であるが、皆で映画を見ることにした。教会員と一緒に映画を見るなんて、今までなかったように思う。『おくりびと』という映画。主人公はオーケストラの楽団員でチェロを弾く。地方の楽団が解散することになって失職。故郷に帰る。チラシを見て応募したのが納棺師という仕事。彼はその仕事の意義に目覚めていくが、故郷の知人や妻は反発する。しまいに妻は彼に向かって「汚らわしい」とさえ言って家を出る。・・・・。納棺の場面が何回も出てくる。重苦しい場面が繰り返されるが、笑わせる場面があってバランスもとれていて、泣きながら笑ってしまうことになる。
第32回モントリオール世界映画祭で最高賞のグランプリを獲得した映画で、見応えがあり、泣けてくる。どういう場面で自分が泣くのか、なぜ泣くのか、映画を見ながら考えたがよくわからない。俗に言う、心の琴線に触れるということなのだが、どんな琴線なのか。
映画が終わって、とあるレストランに行って食事をしながら映画を見ての感想を語り合う。人それぞれ心に留まることが違うのは面白い。こういう映画を見ると、自分の死を受け入れやすくなるのは確かだ。一緒に聖書の学びをしている者たちが、一緒に映画を見るのもよい経験だ。人生を共有するというと大げさだけれど、共に生きる兄弟姉妹と時間を共有することは楽しい。
印象深い場面は、主人公が橋から川を見ている時、鮭が川を上って泳いでいる。ある鮭は疲れ果てて死んでしまう。死んでしまうのなら、なぜ川を上ってくるのか、と主人公は思う。通りがかった知人が、主人公に
「故郷に戻りたいからではないか」
と言う。我々は、天の故郷に帰るのだ。その知人は、後でわかるのだが、火葬場の職員で、
「長年この仕事をやっていて思うのだが、死は門だと思う。死んだ人は向こうへ行く。この仕事は見送りの仕事だ」。
主人公が知人の女性でお風呂屋の女主人が死んだ時、死に化粧をする。そして火葬場で棺の蓋を閉める時、「お疲れ様でした」と言ったのも印象的だった。
映画館のユナイティッド・シネマの入場料は、60歳以上は1,000円。