朝、起きてトイレに行った後、洗面所で手を洗うとき鏡を見ます。するとそこに自分の顔が映っています。年をとった人間の顔があります。老人の顔です。老いた自分の顔が見えます。
「君、長く生きてきたね」
「そう、長く生きてきたよ」
「色んなことがあったよね」
「そう、色々あったね」
「今、こうして自分がここにいることに感謝な思いがあるよ」
「そうだね」
「目の下に目立つしわができたね」
「そうなんだ、いかにも年寄りって感じ」
「いつの間にか、年とったんだね」
「振り返れば、あの時、この時、思い出せるね」
「人生の歩みが顔に刻まれているのかな」
「刻まれているよ。だから嫌いにならないよ」
「生きてきた証しの顔かも知れないね」
「これからもっとしわが増えるよ」
「どんな顔になるのか」
「気にしないで、ありのままでいいんじゃない」
「そうだね」
「今日の一日、大切にね」
「ありがとう」
